雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 一足先に帰った伊万里は、逸る気持ちを抑えながら駅へと急いでいた。今日は、待ちに待ったFateのアルバム発売日。予約しているから急ぐ事もないのだが、少しでも早く見たくて、その音が聴きたくてたまらない。

 飛び乗った電車の中、早速携帯音楽プレイヤーを取り出してイヤホンを耳に入れる。Fateの新しい音楽がもうすぐ聴けるのだと思うと、伊万里は涙が出そうな気持ちになった。

 CDショップに着くと、脇目もふらず予約券を手にレジカウンターへと向かった。特典はポスターで、中を見たい気持ちを必死に我慢する。

 早く家に帰って、聴かなきゃ! そう思い伊万里は小走りで店を出ようとしたが、勢い余ってドンッ、と人とぶつかってしまった。


「あ、すいません」


 先に相手の男性が謝ったので、伊万里も慌てて頭を下げる。
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