雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 千咲希は久しぶりに、春翔とファミレスで待ち合わせした。部活終わりで先に店内に入った千咲希は、春翔からのLINEでドリンクバーを頼んで待っていた。


「よぉ」


「久しぶり」


 春翔は軽く手を挙げて、千咲希の前に座った。すぐにドリンクバーを頼むと飲み物を取りに行く。戻って来ると、スマホをテーブルの上に置いた。


「エビ高野球部、決勝進出だって?」


「うん」


「すげーな」


 お互いの部活の話などをして、春翔はサッカー部の先輩の愚痴をこぼす。千咲希は当たり障りない返事をしながら、話を聞く。少しの沈黙があって、春翔が不意に言った。


「来月花火大会、どうする?」


 千咲希は、一瞬答えに詰まった。


「行く?」


「……うん」


 頷いてから、何故即答出来なかったんだろうと考える。春翔が嫌いな訳じゃない。千咲希はモヤモヤしながらも、春翔に笑顔を向けた。
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