雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
ファミレスを出て、駅で春翔と別れた後、ふと匡の事を思い出した。
匡に会いたい。そう思うのはいけない事なのだろうか。春翔への後ろめたさをほんの少し感じながらも、止められない想いを千咲希はようやく自覚した。
今の自分に出来るのは、演奏しかない。スタンドから精一杯、気持ちを込めてサックスを吹く事。匡に届くように――。
夏休みに入った七月の終わり。エビ高野球部の地区大会、決勝戦の相手は、甲子園出場経験もある私立高校だった。県立高校の甲子園出場なるか? とマスコミも注目している。
千咲希も、祈るような気持ちで準備をしていた。応援団も校内総出でスタンドで埋め尽くす。
匡に会いたい。そう思うのはいけない事なのだろうか。春翔への後ろめたさをほんの少し感じながらも、止められない想いを千咲希はようやく自覚した。
今の自分に出来るのは、演奏しかない。スタンドから精一杯、気持ちを込めてサックスを吹く事。匡に届くように――。
夏休みに入った七月の終わり。エビ高野球部の地区大会、決勝戦の相手は、甲子園出場経験もある私立高校だった。県立高校の甲子園出場なるか? とマスコミも注目している。
千咲希も、祈るような気持ちで準備をしていた。応援団も校内総出でスタンドで埋め尽くす。