雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「瞳子ちゃん、苦しいって。死ぬ」


 足をバタつかせて、ギブアップのジェスチャーをする那子の頭を瞳子が小突いた。


「あんたが余計な事言うからでしょ。バリカンで坊主にするよ?」


「やだーっ。虐待反対!」


 気心の知れた叔母と姪の会話に、スタッフ達も仕事をしながら口元を緩める。


「さてと。それじゃ、まずカラーからね」


「えっ? 瞳子ちゃん、カラーバリエーションとか見せてくれないの?」


「いいから、カラーもカットも、私に任せなさいって」


「岩のりみたいに真っ黒とか、絶対嫌だからね!! あと、髪もショートにはしないでよ!!」


「はいはい」


 那子のオーダーを軽く受け流して、瞳子はスタッフにカラーの調合を指示した。
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