雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 いったいどんな風にされるのかと、那子は内心気が気じゃなかった。いつも那子の細かいオーダー通りに仕上げてくれる瞳子の腕やセンスを信用していないわけじゃない。むしろ、とても信用しているのだが、全て瞳子に任せたのは、これが初めてだった。

 どこか不安げな表情の那子とは対照的に、瞳子は鼻歌交じりで手を動かしている。

 そして二時間後――。

 鏡の中には、今までとは別人の様な那子がいた。金髪は髪色戻しでナチュラルブラウンになり、ロングだったヘアスタイルは、肩先くらいのワンレンボブに。綺麗にブローされた毛先は、パーマもかけていないのに、クセも手伝ってか、軽く内巻きになっている。


「那子、かっわいー。さすが私の姪」


 まるで自分じゃないみたいだと放心している那子に、瞳子が満足顔で言った。
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