雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「あっ、九条くん。ちょっといいかな?」


 背後から突然店長の声がして、帆鷹は急いで振り返った。


「はい」


「花火大会の日のバイトなんだけど、その一日だけ誰かバイトしてくれそうな友達いないかな?」


「え? そんなに人手が足りないんですか?」


「厨房もホールもギリギリの人数なんだよ。食器洗いや簡単な調理補助をしてくれる子がいてくれればと思って……」


 店長に言われ、帆鷹の脳裏に新太が浮かんだが、それはすぐに却下された。お祭り人間と言っても過言ではない新太の事だ。花火大会に行かないなんて、どう考えてもありえない。


 店長と帆鷹の話を密かに聞いていた悠李は、弾かれたように、穂香達のテーブルへと向かった。
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