雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 そんな那子の態度や外見は、クラスでもすぐに浮いた存在となった。

 関わりたくないのなら、単に放って置けばいいものを、わざと聞こえよがしに、あれこれ言う連中ばかりで、鬱陶しい事この上ない。ましてやそれが自分よりも年下だと思うと、そこに更なる憤りを覚えた。

 那子がクラスに馴染めず、保健室登校になったのは、そんな経緯からだ。

 学年と年齢の相違を無くす為、生まれ年を一年遅く書こうかとも思ったが、結局はありのままを記入した。履歴書を一通り記入して、一息つきながらボールペンを置く。あとは明日の面接前に、証明写真機で撮った写真を貼り付ければオッケーだ。

 ぐんと伸びをしながら時計を見ると、既に二十時半を回っている。夕飯どころか、着替えもしていない事に気付いて、那子は弾かれたように立ち上がった。
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