雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「じゃあ、店長と帆鷹には俺から話しておくから、穂香ちゃん宜しくね」


 穂香はそれに笑顔で「はい」と頷きながら、悠李がいなくなった途端、ざわつく胸を静める様に、大きな深呼吸をひとつした。降ってわいたような話に、穂香の思考はまだどこか追いつけなくて、急いで千咲希に助けを求める。


「千咲希、どーしよー」


「全然困ってるようには見えないけどね?」


 言葉とは裏腹に頬が緩む穂香を、悪戯な眼差しを細めて千咲希が笑った。
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