雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「九条と一緒にバイト……って、これ、ドッキリじゃないよね!?」


「なわけないでしょ。まず江坂先輩に仕掛ける理由がない」


 穂香と千咲希がそんな会話をしていると、今度はテーブルに帆鷹がやってきた。


「中崎、ホントにいいのか?」


 抑揚のない帆鷹の声は、どことなく迷惑そうに聞こえる。穂香はちょっとむっとして、敢えてしれっと訊き返した。


「何が?」


「バイトだよ」


 その声が更に迷惑そうに感じられた穂香は、帆鷹への怒りまかせに、つい思ってもない事を口走った。
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