雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「もうその話は終わり。あっ、そう言えば、千咲希の話って何だったの?」


 思い出した様に穂香に訊かれ、千咲希は躊躇った。匡の話をしようと思っていたのだが、結局、切り出せずじまいで現在に至る。


「私の話はまた今度でいいよ」


「えーっ、めっちゃ気になるー」


「私の話より、今は穂香の話ね?」


 千咲希は穂香に話を戻すと、やましさに押しつぶされそうになる心を誤魔化す様に、わざとおどけて笑ってみせた。
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