雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
夏音はまだ遠く聞こえていた
花火大会の八月六日は日曜日。朝から街全体が花火大会に向けて動き出していた。コンビニは駐車場スペースで冷たい飲み物を売る準備を始め、駅前のスーパーも負けじとドリンクコーナーを増設して臨む。
そんな中、伊万里は身支度を整えて家を出ようとしていた。
「本当に気を付けてね。帰りの電車に乗る前に、必ず電話してね?」
母親の言葉に何度も頷いて、伊万里は玄関のドアノブに手を掛けた。
「行ってきます」
「忘れ物ない?」
「ないよ、大丈夫」
「行ってらっしゃい」
ドアを締めた伊万里は黒のリュックを一旦下ろし、中を確認した。ライブのチケット、スマホ、財布、化粧ポーチ、黒革の眼帯、タオル。
そんな中、伊万里は身支度を整えて家を出ようとしていた。
「本当に気を付けてね。帰りの電車に乗る前に、必ず電話してね?」
母親の言葉に何度も頷いて、伊万里は玄関のドアノブに手を掛けた。
「行ってきます」
「忘れ物ない?」
「ないよ、大丈夫」
「行ってらっしゃい」
ドアを締めた伊万里は黒のリュックを一旦下ろし、中を確認した。ライブのチケット、スマホ、財布、化粧ポーチ、黒革の眼帯、タオル。