雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 たぶんバイトだろうと思った新太は、帆鷹のバイト先まで行ってみる事にした。友人達との待ち合わせは十七時なので、まだ時間はある。時計は十五時を回ったところだ。

 外出用の迷彩柄の短パンに着替えると、新太はスマホと財布を持って部屋を出た。

 玄関を一歩出ると、エアコンで冷えた体を真夏の熱風が包み込む。季節の中では夏が一番好きな新太は、この感覚が嫌いではなかった。

 夏と言えば海に花火にバーベキュー、女の子も薄着になる最高の季節! のはずなのだが……。


「はぁ……」


 伊万里がいない、ただそれだけでこんなにも夏が色褪せて見える――。
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