雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「バイトの面接……ですね。少々お待ち下さい」


 何も聞かされていない感丸出しで、女性スタッフはバタバタとバックヤードに消えた。

 休日なのもあってか、ランチタイムを過ぎても、わりと席が埋まっている。

 那子が何気なく店内を見回していると、今度はバックヤードから男性スタッフが出て来た。男性と言っても、歳は那子とさほど変わらない、見るからにバイトっぽい男の子が言う。


「すみません。今日急な会議が入って、店長まだ戻ってないんですよ。携帯に連絡したら、俺が代わりに面接する様に言われたんで、取り敢えず空いてる奥の席に座って待ってて下さい。注文のデザート出したら、俺もすぐ行くんで」


 言うが早いか、男の子はまたバックヤードへと消え、那子は言われるがまま、奥のボックス席に座った。
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