雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 モヤモヤとした気持ちのまま、待ち合わせ場所に向かった匡は、そこで愕然とした。功と二人で花火を見るものだと思って来たのに、浴衣を着たクラスの女子二人の姿まである。


「よっ、匡」


 何食わぬ顔で軽く手を挙げた功の手を、「ちょっと来い」と言わんばかりに引っ張った。


「痛っ。んな強く引っ張んなって」


 そんな功の腕を離すと、匡は静かな怒りの眼差しを向ける。


「他に誰かいるとか、俺、聞いてねぇぞ?」


「男二人で花火なんて、味気ねーじゃん」


「お前、塚口どうしたんだよ!? 普通こういうの、彼女と見るもんだろ!?」


 匡が花梨の名前を出すと、功は鬱陶しい顔付きで、頭をガシガシと掻いた。
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