雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 ラーメン屋に辿り着いた帆鷹と穂香は、思わず同時に声を出した。


「うわ、マジか」


「めっちゃ並んでる!」


 花火大会帰りの人も含め、店の前には十人ほどの列が出来ていた。


「どうする? 並ぶ?」


 あんぐりと口を開けた穂香に、帆鷹が振り返って訊いた。


「ここまで来たら、並ぶ! もうラーメンの口になっちゃってるもん」


「俺はいいけど、足痛いって言ってなかった?」


「大丈夫!」


 満面の笑みで頷いた穂香を見て、帆鷹はプッと小さく吹き出す。


「何?」


「いや、元気だなーと思って」


「明るく元気なのが取り柄なんで!」


「疲れない?」


 そう言われて、穂香は一瞬真顔になった。返事がないので、帆鷹は穂香の顔を見つめる。
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