雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 夏成実がフロアーに落ちてしまったアイスコーヒーのカップを拾おうとすると、どこからともなくスタッフがやって来て、こぼれたコーヒーをモップで拭き、カップも綺麗に片付けてくれた。「すみません」と頭を下げる夏成実に、功もスタッフに小さく会釈する。そんな功を見て、夏成実は小さく吹き出した。


「何笑ってんだよ!?」


「イタズラして怒られた小学生みたいだと思って……」


「は!? 誰が小学生だ! そもそもこうなったのも、よそ見して歩いてるお前のせいだろーが!」


「コーヒーなら弁償するから、そう目くじらたてないでよ」


「別にいらねーよ」


「あっ、彼女と待ち合わせ? そしたら、アタシといたりしたらマズイよね」


 気を遣って言ったのに、何故か功の顔は増々不機嫌になる。
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