雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「こねーよ。急にこれなくなったってLINE来て、帰ろうとしたらこれだよ」


「あーね。だからか」


「何が?」


「ん? だからそんなに不機嫌なんだ? ってこと」


「ちげーし! 買ったばっかのコーヒーこぼされたからに決まってんだろ!」


「コーヒーなら弁償するって。アタシも買おうと思ってたし。ほら、行くよ?」


 歩き出した夏成実に、どうしようかと思いながらも、功はその後について行った。


 注文の列に並び、夏成実が功を振り返って訊く。


「ミルクとガムシロ入り?」


 相変わらずの不機嫌顔で頷いた功に、夏成実がやっぱり! と言わんばかりの顔をした。
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