雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
開いたままの教室の扉から、そっと中を覗き込む。誰もいない事を確認すると、伊万里は教室へと足を踏み入れた。
廊下で数人の生徒とすれ違ったが、入学式どころかホームルームすら終わっているらしい。自分の机に置かれたプリント類を手早く鞄に入れ、教室を出ようとしたその時、一人の女子がバタバタと足音を立てて駆け込んできた。
「あっ!」
いきなり指を差され伊万里はビクッと肩を震わす。何か言われるかも?と緊張感が走った。伊万里にずんずん近付いて来ると、その女子はこう言った。
「入学式で倒れちゃったんだよね? 大丈夫? もう平気?」
倒れてはいないんだけど……と言いたかったが、初対面で言葉が出てこない。
「私、今宮萌果(いまみやもか)。よろしくね!」
「あ、えっと……」
「平野伊万里ちゃんでしょ? 先生が言ってた。平野さんは保健室で休んでるからって」
「えぇ……」
クラス全員にそんな風に紹介された事にショックを受けていると、萌果は伊万里の顔を覗き込んできて。
「あなた、結構美少女だよね! 言われた事ない? ちょっとお兄ちゃんには会わせたくないかも……」
何がなんだかわからず、キョトンとする伊万里に萌果はニッコリと笑顔を向ける。そういう萌果もかなりの美少女だ。
「とりあえず、伊万里って呼んでいい? 萌果の事も名前でいいから」
圧倒された伊万里は、ただ頷く事しか出来なかった。
廊下で数人の生徒とすれ違ったが、入学式どころかホームルームすら終わっているらしい。自分の机に置かれたプリント類を手早く鞄に入れ、教室を出ようとしたその時、一人の女子がバタバタと足音を立てて駆け込んできた。
「あっ!」
いきなり指を差され伊万里はビクッと肩を震わす。何か言われるかも?と緊張感が走った。伊万里にずんずん近付いて来ると、その女子はこう言った。
「入学式で倒れちゃったんだよね? 大丈夫? もう平気?」
倒れてはいないんだけど……と言いたかったが、初対面で言葉が出てこない。
「私、今宮萌果(いまみやもか)。よろしくね!」
「あ、えっと……」
「平野伊万里ちゃんでしょ? 先生が言ってた。平野さんは保健室で休んでるからって」
「えぇ……」
クラス全員にそんな風に紹介された事にショックを受けていると、萌果は伊万里の顔を覗き込んできて。
「あなた、結構美少女だよね! 言われた事ない? ちょっとお兄ちゃんには会わせたくないかも……」
何がなんだかわからず、キョトンとする伊万里に萌果はニッコリと笑顔を向ける。そういう萌果もかなりの美少女だ。
「とりあえず、伊万里って呼んでいい? 萌果の事も名前でいいから」
圧倒された伊万里は、ただ頷く事しか出来なかった。