雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
≪久しぶり。明日からまた学校だな≫

 それは友達に送る様な、何ていう事のないメッセージ。それでも那子の心は、嬉しくて高鳴った。弾む指先で返信を打つ。

≪久しぶり。≫と打ち込んで、その先を考える。≪そうだね≫なんて返しても、会話が終わってしまいそうだし、≪学校でもよろしくね≫なんて言うのも恥ずかしい。

≪久しぶり。今宮は受験勉強で忙しくしてたの?≫

 そう返信すると、すぐに既読がついた。

≪一応、受験生だからな。そういう桜川は?≫

≪アタシはバイトばっかり(笑)≫

≪バイトもいいけど、あんまり無理すんなよ≫

 律樹はきっと何気なく言ったんだろうと那子は思う。それでも、自分を気遣ってくれる律樹の言葉が、那子はとても嬉しかった。

 律樹とまた二人で出掛けたい。そんな気持ちで那子の胸はいっぱいになる。
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