雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
≪あのね、急なんだけど……。もし良かったら、受験の気分転換にシルバーウィークどこか出掛けない?≫

 抑えきれなくなった気持ちのまま、那子はメッセージを送った。

――どうしよう。やっぱり迷惑だったかな……?

 送信した途端、今度はそんな後悔が押し寄せる。

≪いいよ≫


「嘘!? いいの!?」


 思わぬ律樹の即答に、那子は思わず声をあげた。

≪バイトのシフト明日になればわかるから、日にちはまた連絡するね≫

≪オッケー。じゃあ、また。おやすみ≫

≪うん。おやすみ≫

 律樹とのトークを終えても、那子はその画面をしばらく見つめる。上にスクロールして、律樹とのやりとりを読み返した。

 明日からまた学校で律樹と会える。そう思うと、夏休みが終わる寂しさも、新学期が始まるちょっぴり憂鬱な気分も、那子の心から消されていく様な気がした。
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