雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「良かったねぇ、見つかって。それじゃ、念のため中身を確認してもらえますか? あと、何か身分を証明するものは……」


 穂香は慌てて立ち上がると、生徒手帳を取り出した。


「瑛美高校二年三組、中崎穂香ですっ!」


 元気よく手をあげた穂香に、千咲希も帆鷹もクスクス笑う。交番内で穂香が受け取りの手続きをしている間、外で待っていた千咲希は帆鷹に訊いてみた。


「ねぇ、九条くん」


「ん?」


「さっき、穂香がいつもと様子が違うって言ってたよね」


「あぁ」


「九条くんがそんな事に気付くなんて、意外」


「意外?」


「だって、いつも他人には興味なしって感じでしょ?」


 千咲希の指摘に、帆鷹は唇だけで笑みを浮かべた。
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