雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「特にタイプっていうのはないけど……やっぱ趣味が合う子がいいかな。音楽好きとか」


「趣味ね」


「あと、小柄な子がいいなぁ。俺の腕ん中にすっぽり収まっちゃうくらいの」


 そんな話をしていると、教室にバタバタと駆け込んで来た女子が一人。


「オッスー!」


 手を挙げて、まるで男子のような挨拶をしたのは、バスケ部の中崎穂香(なかざきほのか)だった。


「おぉ、穂香。どした?」


「ちょっと忘れ物しちゃって」


 訊いた新太に、穂香は自分の机の中から一冊のノートを取り出すと「じゃね」と駆け出して行った。


「なぁ、アイツとか、どうなの?」


 帆鷹がそう問いかけると、新太は首を捻った。


「アイツって?」


「中崎穂香。お前好みの小柄じゃん」


「いや、小柄がいいとは言ったけど。穂香はないって! いいヤツだけど、友達以上には考えらんない」


「ふーん。なんだかんだ言って、結構好みはあるんだな」


 うっ、と新太は言葉に詰まった。帆鷹はサラリと痛い所を突いてくる。
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