雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「それが、やたら運動神経がいい癖に部活入ってなくて、試合の時とかに助っ人で駆り出されるらしいの。部員でもないのにさ! そんなヤツを試合に出させる男バスもおかしくない?」


「うん、確かに……」


 日頃一生懸命練習している部員達は、どう思っているのだろうか。試合に出場出来ない補欠のメンバーなどは、高井田功に対して腹立たしく思うのではないだろうか。吹奏楽部でも、もし同じような事があれば、大会に出られないメンバーはどんな気持ちになるか……。

 千咲希はそんな事を考えると、モヤモヤした気持ちになってきた。


「なんか、ムカつくよね! そういうの」


 口を尖らせる穂香に、千咲希が言う。


「でも、逆に言えば。それだけ信頼されてるって事だよね」


「えっ?」


「だって、練習なしでいきなり試合に出て、それでも活躍するだけのもの持ってるって事でしょう?」


「う、うーん……そういう事か」


「才能あるんだよきっと。本番に強いのか」


「そうだとしてもさ、納得いかない!」
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