雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「男バスが納得してるんなら、穂香がそんな事言っても仕方ないよ」
「いや、そうなんだけどね?そうなんだけど……」
「はい、もうこの話は終わり!」
「えー?」
そう言われると、穂香も渋々引き下がるを得なかった。千咲希は人の噂話や悪口が好きではない。それはわかっているのだが、穂香は一旦話し出すと止まらなくなってしまう。そして最後は千咲希に諭されて終わるというのがパターンだった。
「じゃ、話変わるんだけど。今日体育館行ったら忘れ物に気が付いてね?」
「うん」
「教室に取りに戻ったら、新太と九条がいてさ」
「新太? あぁ、北浜くんね」
「そう。新太は普通に『おぅ』って感じでしゃべってくれるんだけど。九条ってなんかすかしてて苦手!」
「九条くんって……確かに、どっか物事を俯瞰で見てる感じがする」
「え? なんて、ふ……」
「俯瞰(ふかん)。周りを見下ろしてるというか、見下してるような雰囲気を時々感じる」
「あ、それわかる! でも、あんまり難しい言葉使わないで? あたし頭悪いからわかんないよ」
「ごめんごめん」
頬を膨らます穂香に謝りながら、千咲希の頭の中には九条帆鷹の感情の読み取れない顔が浮かんでいた。
「いや、そうなんだけどね?そうなんだけど……」
「はい、もうこの話は終わり!」
「えー?」
そう言われると、穂香も渋々引き下がるを得なかった。千咲希は人の噂話や悪口が好きではない。それはわかっているのだが、穂香は一旦話し出すと止まらなくなってしまう。そして最後は千咲希に諭されて終わるというのがパターンだった。
「じゃ、話変わるんだけど。今日体育館行ったら忘れ物に気が付いてね?」
「うん」
「教室に取りに戻ったら、新太と九条がいてさ」
「新太? あぁ、北浜くんね」
「そう。新太は普通に『おぅ』って感じでしゃべってくれるんだけど。九条ってなんかすかしてて苦手!」
「九条くんって……確かに、どっか物事を俯瞰で見てる感じがする」
「え? なんて、ふ……」
「俯瞰(ふかん)。周りを見下ろしてるというか、見下してるような雰囲気を時々感じる」
「あ、それわかる! でも、あんまり難しい言葉使わないで? あたし頭悪いからわかんないよ」
「ごめんごめん」
頬を膨らます穂香に謝りながら、千咲希の頭の中には九条帆鷹の感情の読み取れない顔が浮かんでいた。