雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
重い足取りで那子が教室に入った瞬間(とき)、クラスの女子達と気安く話している悠李と目が合った。フリーズしそうになった那子とは正反対、何食わぬ顔でその視線を逸らしたのは悠李だ。
そう、そこに何も問題はない。逆に親しく話しかけられた方が、那子にとっては大問題だ。バイト先が同じなんて事をうっかり口にされたら、悠李の取り巻きっぽい女子達に、何を言われるかわからない。
思いながらも那子の心は、何故かよりいっそうモヤモヤとしていた。
四時間目のLHR(ロングホームルーム)。
ざわつく三年六組の教室内、教壇に立ったクラス委員の男子が声を張り上げる。
「何か議題がある人は挙手して下さーい」
誰もが無反応かと思いきや、一番前の席に座っていた守口夏成実(もりぐちかなみ)が、勢いよく手を挙げた。
そう、そこに何も問題はない。逆に親しく話しかけられた方が、那子にとっては大問題だ。バイト先が同じなんて事をうっかり口にされたら、悠李の取り巻きっぽい女子達に、何を言われるかわからない。
思いながらも那子の心は、何故かよりいっそうモヤモヤとしていた。
四時間目のLHR(ロングホームルーム)。
ざわつく三年六組の教室内、教壇に立ったクラス委員の男子が声を張り上げる。
「何か議題がある人は挙手して下さーい」
誰もが無反応かと思いきや、一番前の席に座っていた守口夏成実(もりぐちかなみ)が、勢いよく手を挙げた。