雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
放課後は、空手部の見学に付き合わされるのだが、有無を言わさぬ萌果に黙ってついていくしかない。
伊万里は空手や格闘技についてはわからなかったが、萌果の兄、律樹がすごく強いという事はわかった。
「今度の日曜、お兄ちゃん試合なんだけど、伊万里も一緒に行かない?」
空手部は律樹の活躍で、校内に専用の稽古場を設ける事が出来た。全国大会連覇の賜物である。ここで練習試合が行われる事も多かった。
「ごめん、ちょっと用事があって……」
言いにくそうにする伊万里に、萌果はあからさまにガックリと肩を落として見せる。
「用事って? どこか出かけるの?」
「うん、まぁ」
「何々? 気になるー! 教えて!」
「え、でも」
「いいじゃない、萌果と伊万里の仲で隠し事は無しだよ?」
伊万里が困っていると、律樹の「全員集合!」との声が響いた。練習が終わるので、萌果はそわそわとそちらを見る。
「あ、終わった! 伊万里、話は後でね」
萌果に気付いた律樹がこちらを見て微笑む。萌果は「お兄ちゃーん!」と手を振った。
伊万里は空手や格闘技についてはわからなかったが、萌果の兄、律樹がすごく強いという事はわかった。
「今度の日曜、お兄ちゃん試合なんだけど、伊万里も一緒に行かない?」
空手部は律樹の活躍で、校内に専用の稽古場を設ける事が出来た。全国大会連覇の賜物である。ここで練習試合が行われる事も多かった。
「ごめん、ちょっと用事があって……」
言いにくそうにする伊万里に、萌果はあからさまにガックリと肩を落として見せる。
「用事って? どこか出かけるの?」
「うん、まぁ」
「何々? 気になるー! 教えて!」
「え、でも」
「いいじゃない、萌果と伊万里の仲で隠し事は無しだよ?」
伊万里が困っていると、律樹の「全員集合!」との声が響いた。練習が終わるので、萌果はそわそわとそちらを見る。
「あ、終わった! 伊万里、話は後でね」
萌果に気付いた律樹がこちらを見て微笑む。萌果は「お兄ちゃーん!」と手を振った。