雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 夏成実にとって悠李は、クラスの中でも一番話やすい男子で。そのルックスもまた見ていて飽きない。誰とも話せないと思っていた席で、悠李だけが夏成実の救いに思えた。
 
 夏成実は机に肘をついた両手に顎を乗せ、悠李の背中に向かって言う。


「江坂くんの背中が輝いて見えるよ~」


「あんま見つめると穴が開くから、ほどほどにして」


 柔らかい口調ながら、振り返りもせず、机の下でスマホをいじりつつ答える悠李。


「江坂くんのソフトなのに素っ気ないとこ、アタシ好きだなー」


「そうやって誰にでも言うとこ、俺嫌いだなー」


「誰にもは言ってないよ。イケメンにだけですー」


「守口さ、それ言われてる俺のがハズい」


「何で!? イケメンって言われたら嬉しくない?」
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