雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「八尾みたいな無愛想なのも嫌いだけど、あのダルそうなチャラさはもっと嫌い!」


 功はだらけた態勢をしながら、同じクラスの女子とそれでも何やら楽しそうに話している。伊万里もどちらかと言えば、匡よりも功の方が苦手なタイプだ。つかみどころがなく、何を考えているのかわからない。


「よぉ」


 呑気に挨拶してくる功を萌果はシカトし、伊万里は無言で会釈した。


「あれ? 俺今シカトされちった?」


「あははー、そうかも?ってかそうだよ」


 さほど気にも留めていない功の口調に、周りにいた女子の一人が突っ込んで笑う。萌果はそれに背を向け、伊万里と腕を組んだ。

  完全に拒否された功は、ダルいと言わんばかりの顔をして、ふざけながら匡に助けを求めた。
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