雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「匡ぅ~、俺どうすりゃいい?」


 訊かれた匡は、功を一瞥して呆れたように顎をしゃくる。


「並べって。お前こっちだから」


「んだよー、班長だからって。真面目かっ」


 功の台詞に女子達がキャハハと笑う。伊万里はそんな声が苦手で、思わず体をぶるっと震わせた。


「おい、功」


「ん?」


 匡はその高身長で功を見下ろして言う。


「いいか、俺を班長にしたのはお前だ。この班のメンバーがいいって言い出したのもお前だ。俺はお前の理不尽な要求を黙って受け入れた。だから今日の遠足が終わるまでは、俺の言う事を聞いてもらう。いいや、聞く義務があるはずだ。そうだろ? 違うか?」


 沈黙する功に、さっきまではしゃいでいた女子達も次第に離れて行った。
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