雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 萌果にドリンクバーといちごパフェを奢ってもらう事になり、伊万里はドキドキしながらドリンクバーコーナーへ向かった。ファミレスという場所は実は苦手なのだが言い出せず……。

 四人掛けのシート席に、萌果と向かい合わせに座っているけれど、すぐ後ろに律樹とその友人達がいた。

 萌果はさっきから律樹の方ばかり見て、話に聞き耳を立てている。


「お待たせ致しました、いちごパフェになりまーす」


 待ちかねたいちごパフェがやって来たが、店員の顔を見た瞬間、萌果の顔色が変わった。


「おぉ、律の妹ちゃん。元気?」


「まぁ、普通」


「今日もお兄ちゃんの追っかけ? 大変だね」


「追っかけじゃないし。帰る家が一緒だからだし」


「あっそ。ま、大変なのは律の方か」


 胸元のネームプレートには「えさか」と書いてある。律樹の友人なのだろう。


「こっちの彼女、新顔だね。妹ちゃんのお友達?」


「友達じゃない人とは来ませんから。もう、向こう行ってよ」


「はいはい、ごゆっくり」


 彼がテーブルを離れると、萌果は身を乗り出して伊万里に耳を貸すよう合図した。
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