雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 何気ない視線の先に新太(あらた)を見つけ、声をかけようと思った矢先、その横に並んだのは帆鷹(ほだか)。

 ふと、穂香の脳裏に帆鷹のポーカーフェイスが浮かび、急いで二人から視線を逸らした。気付いていないふりを決め込む為に、敢えてあさっての方向を見る。


「よぉ。穂香」


 新太にそう声をかけられ、あたかも今気付いた様に視線を向けた。


「新太ももう帰るんだ?」


「そそ。帰ってテス勉」


「嘘ばっか」


「あ、バレた?」


 新太と穂香が話していても、帆鷹は会話に入って来ようとはしない。


「じゃあな」


「バイバーイ」


 穂香は新太に向かって大きく手を振りながら、その隣の背中に心の中で悪態を吐いた。

 ――やっぱ九条って、めっちゃムカつく!!
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