雨虹～傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た～

　穂香は帆鷹を初めて見た時の事を思い出していた。クラス替えをしたばかりの教室で、帆鷹は新太を含めた数人の男子グループの中にいた。大笑いする新太の横で、アンニュイな笑顔を見せていたのが帆鷹だった。

　それ以来、何かと帆鷹が気になっていた様な……？

　穂香は辿り着いた答えに愕然とする。

　穂香をやりこめながら、千咲希もまた頭の片隅で、全く別の事を考えていた。

　高井田功の隣を歩いていた背の高い男子の名前を穂香なら知っているのだろうか……？


「千咲希」


「ねぇ、穂香」


　ほぼ同時にお互いの名前を呼び合い、重なった声に顔を見合わせ、思わず二人で笑い出した。