雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「八尾匡だから、たっくんって呼んでたんだ。たっくんね、三歳くらいから小学校入学まで、ずっとうちのピアノ教室通ってたの。でも引っ越しちゃって……。まさか、同じ高校で会えるなんて思ってなかったからびっくり」
千咲希の家は、母がピアノ教室を自宅で開き、父は楽団のトランペット奏者という音楽一家。
「たっくん」という呼び名もピアノも、匡の風貌からは想像出来なくて、穂香はポカンとしてしまった。
「あ、私の話ばっかりしてごめん。穂香は何言おうとしてたの?」
千咲希に話を引き戻されたが、タイミングを逃したせいか、穂香は無性に恥ずかしくなる。
帆鷹の事が好きなのかも……なんて、やっぱり言えない。
「アタシの話はいいよ。大した話じゃないから」
話を聞かなくても、穂香が言わんとすることは、だいたい見当がつく。きっとそのうち穂香から話してくれるだろうと高を括って、千咲希はそれ以上、深追いはしなかった。
千咲希の家は、母がピアノ教室を自宅で開き、父は楽団のトランペット奏者という音楽一家。
「たっくん」という呼び名もピアノも、匡の風貌からは想像出来なくて、穂香はポカンとしてしまった。
「あ、私の話ばっかりしてごめん。穂香は何言おうとしてたの?」
千咲希に話を引き戻されたが、タイミングを逃したせいか、穂香は無性に恥ずかしくなる。
帆鷹の事が好きなのかも……なんて、やっぱり言えない。
「アタシの話はいいよ。大した話じゃないから」
話を聞かなくても、穂香が言わんとすることは、だいたい見当がつく。きっとそのうち穂香から話してくれるだろうと高を括って、千咲希はそれ以上、深追いはしなかった。