隣に住むのは『ピー…』な上司
(それでいいのかな?)


小さな子供に抱きしめられる瞬間は幸せだったと話していた。

一緒に暮らしたことがなくても血を分けた自分の分身。


そう言えば、いつだったか真由香が言っていた。

アウトレットモールで、三人で歩いているところを見た……と。



(三人ってことは、課長ともなちゃんとそのお母さんってこと?)


子供については教えてもらった。

でも、そのお母さんについては詳しく話してくれてない。



『お互い結婚なんて一度も考えたりしない仲だった』



ホントにそういうことなら、どうして避妊をしなかったんだろう。




(……わからない)


泰明の時もそうだけれど、私は男性について免疫がなさ過ぎる。

特に性については、知識が極端に少ない。

30歳寸前まで処女でいるお陰で、その辺の事情が図り知れない。


課長に聞けば手取り足取り教えられそうで怖い。

だからと言って、真由香に相談するのも変だし。



(……考えてみれば、課長も避妊はしていたのかもしれない)


100%じゃないと保健の授業で聞いたことがあるし、高校でも専門学校でも、避妊に失敗した女子の噂を耳にしたことはある。


子供ができるのはめでたいことだ。
そのお陰で私だってこの世に生きてる。


(だから全然変なことじゃない。当たり前のことだって)



そう思って納得してみた。

目の前にあの人が現れてくるまではーーー。


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