隣に住むのは『ピー…』な上司
数日後、晩ご飯の買い物をしてマンションの前に戻ってきたら、スラッと背の高い女性が立っていました。


(美形……)


目の醒める美人ってあんな人のことを言うのだろうと思います。

目鼻立ちがくっきりして、足の甲が高くて。

スレンダーなワンピースを着てても太って見えなくて、手も足も顔も、全てが真っ白で光っていた。



(すごいなぁ。羨ましい)


チラリと視線を送ると気づかれたらしく、でも、ツン…とする訳でもなく微笑まれた。



(感じもいい!)


特別な人を見たような気分で部屋に入った。

買い物袋から冷蔵庫に入れ、洗濯物を取り込みにベランダへ出たら。



(課長だ…)


マンションに向かって歩いてくるのが見えました。


今日は会議も残業もナシなのか。
だったらウチへ来るかもしれない。



(もしかしたらまた迫られる…?)


イヤじゃないんです。ホントに。

ただ、あまりにも課長が欲求を剥き出しにするもんだから困る。



(怖いというか戸惑う。迫られる経験は無くもないけど最悪なものだったし……)



遠慮してしまうものは確かにある。

相手は課長だと知っているのに、どうしても一歩引く。


(だからと言って待たせ過ぎてもダメよね……)


月が変われば誕生日が近い。

満年齢の30になる前にヴァージンは卒業しておきたいものだけれど。


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