隣に住むのは『ピー…』な上司
『グルル、キュルル…』


お腹が鳴るような音が聞こえてきて、ゆっくりと瞼を開けた。

視界の中に広がっているのは見覚えのある天井。


だけど……


(あれ……?)


見たことあるようでないような部屋の雰囲気がする。

天井も壁も同じ色合いなのに、何処か自分の部屋とは違う気がする。



(ここは……?)


ゆっくりと視線を走らせる。

オフホワイトの壁に沿って、見覚えのない家具が並ぶ。



(テレビ、キャビネット、本棚、鳥かご?)


左から右へ移した視界の端に見たことのないモノを見つけた。

白いボックス家具の上に乗ったカゴのような存在。


その中で何かが動いている。



(何だろ……鳥……?)


木に止まったりフェンスにくっ付いたりとやけに忙しい感じ。

あれは見たことがあるような気がする。

白っぽい頭にパープルとブルーが混ざった様な体の色合い。



(もしかして……ピ…)

「ピーチ」


声にビクついた。
思わず振り向き、「あ…」と小さな声を漏らした。


手にプラスチックの容器を持った男性が入ってくる。
送られている視線も構わず、直接カゴの方へ向かった。


上にスライドする扉を開け手を突っ込む。
容器をセットした後、小鳥に向かって話しかけた。


「水だぞ、しっかり飲めよ」


入り口を閉めると振り返った。
そこにいたのは、やっぱりさっき声をかけてきた人。


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