隣に住むのは『ピー…』な上司
上司のお礼
明くる朝、オフィスでの小日向課長はいつものように淡々と仕事をこなしていました。
「課長、確認お願いします」
出張中に作り上げた書類を持って行っても、まるで昨日のことなどなかったかのような素振り。
「ん……」
バインダーごと受け取り、じぃっと紙の上を目で追っている。
そんな課長の側に立つ私は、まるで夢でも見たかのような気分に浸っていた。
『ピーチ!』と叫んで焦っていた人は、本当に目の前にいる人だろうか。
寝癖のついたヘアスタイルに歯磨き粉のくっ付いた頰っぺ。
今とは別人のような風貌がどうにも信じられません。
「いいんじゃないか。このまま続けて頼むよ」
返されたバインダーを受け取る時、何気に目が合いましたが……
スッ…と直ぐに外されてしまった。
特に恥ずかしそうにする訳でもなく、いつも通りクールな感じで。
「素っ気ないわね」
デスクに戻ると、隣にいる同期の木下真由香(きのした まゆか)が呟いた。
「愛想も何もないってこのことね」
真由香は課長のことが好きじゃないみたい。
のっぺらぼうな顔をして歯も見せないってどういうの!?と、よく怒っているのを目にする。
「そうでもないわよ」
一応このままで頼むと言われた。
必要最低限な言葉は交わしている。
(必要最低限の言葉はね)
それ以上は喋らない。
私に限らず、誰にでもそうだ。
「課長、確認お願いします」
出張中に作り上げた書類を持って行っても、まるで昨日のことなどなかったかのような素振り。
「ん……」
バインダーごと受け取り、じぃっと紙の上を目で追っている。
そんな課長の側に立つ私は、まるで夢でも見たかのような気分に浸っていた。
『ピーチ!』と叫んで焦っていた人は、本当に目の前にいる人だろうか。
寝癖のついたヘアスタイルに歯磨き粉のくっ付いた頰っぺ。
今とは別人のような風貌がどうにも信じられません。
「いいんじゃないか。このまま続けて頼むよ」
返されたバインダーを受け取る時、何気に目が合いましたが……
スッ…と直ぐに外されてしまった。
特に恥ずかしそうにする訳でもなく、いつも通りクールな感じで。
「素っ気ないわね」
デスクに戻ると、隣にいる同期の木下真由香(きのした まゆか)が呟いた。
「愛想も何もないってこのことね」
真由香は課長のことが好きじゃないみたい。
のっぺらぼうな顔をして歯も見せないってどういうの!?と、よく怒っているのを目にする。
「そうでもないわよ」
一応このままで頼むと言われた。
必要最低限な言葉は交わしている。
(必要最低限の言葉はね)
それ以上は喋らない。
私に限らず、誰にでもそうだ。