隣に住むのは『ピー…』な上司
羽音にビクついて肩を竦める。

一瞬瞑った目を開けると、小鳥は指には止まっていません。



「あれ?」


どこへ行った?

どこどこ…と頭を左右に振ると、課長が指差して言いました。


「頭の上」


トントン…と地肌に何かが当たる。
突つかれているみたいで何だかくすぐったい。


「毛繕いしてるぞ」

「えっ、毛繕い!?」


小鳥もするの!?
初めて聞いたよ。


「ミミズと遊んでる感覚と同じかな。髪の毛が長いから遊び道具と思ってるんだろう」


見えない分解説してくれるのは助かります。
でも、頭の上でフンを落とされると困るから。


「ピーチ、降りてきて」


手を上に上げると、『ピピピッ』と鳴き声がする。


「随分慣れたなぁ」


課長が少し驚きました。


「何か特別なことしたのか?」


頭の上に手を伸ばし、小鳥の体を包んだ。


「何もしていません。課長に言われてたことを毎日していただけです」


手の中に収まった小鳥を見つめる。
大きな手の中にいる様子は、まるでヒナのようにも見えます。


「他のことは何も……あっ、そう言えばハンカチをあげました」


「ハンカチ?」

「病院帰りにケースの中に入れてやったんです。寒そうにしていたからあっためるつもりで」


アレです…とカゴの中を指差した。
課長はカゴに寄り、「それでか」と呟いた。


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