隣に住むのは『ピー…』な上司
「ピーチがすんなり毛繕いを始めた理由がわかった。君の匂いを覚えてたからだ」

「ピーチちゃんが私の!?」


それって光栄な話なの?


「仲間のように思われてるんだろう。だったら持ってみるか?」


手の中にいる小鳥を見せられた。


「は、はいっ!」


オズオズと広げた手の中に課長の小鳥が入れられる。

日に焼けた課長の手肌があったかい。
手の平は白くて甲とのコントラストがキレイだ。

手が抜けると綿のようなものが残された。

翼を収めた小鳥がじぃっとしたまま座っている。




「可愛いっ…」


思わず声が出てしまう。

あの日のように目を瞑る小鳥の、なんて愛らしいことか。



「ラブリーですね、課長」


同意を求めて顔を上げた。
課長はハッとした様子で、私のことを見ている。


「課長?」


どうしたんだろう。
何かある?



「……意外だな」


口が開きました。


「そんな可愛い顔して笑うんだ」



「えっ!?」



笑っていた!?
私が課長の前でどんな顔して!?


「ふぅん…」


ふぅんって何!?
何なの!?


小鳥を手にしたまま狼狽える。
課長はそれが可笑しいらしく、くくくっ…と肩を揺らした。



「白鳥くん」

「は、はいっ!」


思わず大きく返事する。
課長が再び笑顔を見せ、信じられない言葉を発した。


< 83 / 151 >

この作品をシェア

pagetop