不思議な彼女と吃音な俺
「私ね。ユウジくんに会いたくて来たの」

全然話が耳に入ってこない。しかも、距離が近すぎる。彼女の右脚と俺の左脚がくっつきそうだ。俺は耐え切れず、少し彼女と距離を置くように座り直す。

「なんで離れちゃうのぉ~!!私のこと嫌いなの?」

「ご、ご、ご・・・・・・」

"ごめんなさい"と言いたいのに、言えない。また脚を叩いて言葉を出そうするが、出ない。恥ずかしさに耐えられず、俺は言うのをやめた。

「途中で言うの諦めないでよ。気になるじゃん」

「す、すみません」

「別に謝んなくていいよ。あっ、もしかして、さっきは"ごめんなさい"って言いたかったの?」

俺がうなずくと、彼女は不思議そうな顔で俺を見つめてきた。
< 4 / 8 >

この作品をシェア

pagetop