不思議な彼女と吃音な俺
「い、いいです」

俺は落とした水筒を拾い上げた。半分以上がこぼれてしまっている。俺は震える手で水筒を持ち、飲んだ。中身はほうじ茶のはずなのだが、味がまったくもって分からない。

「ねぇ、デートしない?」

吹いた。咳き込む俺を見て、彼女はまた心配そうに俺を見つめる。そんな中、俺はまた考えていた。これから自分がどうなってしまうのか、そう考えると言い知れぬ不安に襲われた。彼女の目的が一向に掴めない。

「本当に、大丈夫?」

「だ、大丈夫、です」

「よかった!じゃあ、どこ行く?」

「お、お、お金なら持ってません」

「近くを一緒に歩くだけならいいでしょ?」

「そ、それなら、だ、大丈夫、です」

「まぁどっちにしろ、あまり時間もないしね」

彼女は独り言のようにつぶやいた。その時の彼女の悲しそうな顔が今でも忘れられない。
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