オトシモノ





あぁ、冷たいな



今は夏なのに



女子ってこんな冷たいものなのか?



誰かに抱きつかれたことなど無い僕は、そんなくだらないことを思う



そして気づいた



彼女のオトシモノとやらは



『愛』だと



からっぽだった



まるで人形のように



見かけは他の人間と変わらない、普通そのものなのに



今はまるで心がない



きっとこの体と同じぐらい



心の中も冷たいんだろうと思った



何で分かるかって



それは僕も同じだから



僕は言う




「オトシモノはもういいの?」




もちろん社交辞令で




彼女は言う




『いいの。新しいのを拾ったから。』
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