君がうたう七つの子
「レイは随分先の下流で見つかった。

確認してくださいと言われて見たその姿は、本当に変わり果てたものだった。


あんなに可愛い子だったのに。

親の欲目と言われればそれまでだけれど、本当に可愛かった。



・・・妻はそれから精神を病んでね。

レイが家を出たあと、帰ってきたらレイの行きたいところに行きなさいって言うつもりだった。

なのに、あの場で冷静になれずに、レイを引き留めなかったことを酷く後悔している。

それは勿論私もだが、妻のほうが傷が深いようで家でずっとふさぎ込んでいる。


本当、情けないな」

ダムが決壊して、あふれ出てくる水のように彼は言葉を吐き出し続けた。

彼の胸の中にある何かと一緒に、吐き出されていく。

どれだけ胸に溜め込んでいたのか、それは止まることなどなく僕に降りかかってきた。

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