君がうたう七つの子
なのにどうして

「こんにちは!

びっくりしちゃったよ、珍しく私がいつもより少し遅れて来たらお父さんと話していたんだもの

あともう少し来ていたら、しょう君とお父さんのエンカウント見れたかもしれないのに。

人生最大の驚きかもってくらいの、驚き

あ、私もう死んでいるから人生っておかしいか」

僕のほうに、いつものように近づきながら、君はそういって笑うんだ


さっきの鋭くとがった声を、角を丸くしていつものように。

「どうして笑っていられるんだ―――

今、レイは、お父さんとすれ違ったんだ!

気づかれることもなく、視線を交わす事も無く、通り過ぎたんだぞ!」
なのになんで・・・

僕は声を荒げるようにして彼女に問う

最後のつぶやきは彼女に届いただろうか。

僕のこの思いは届いただろうか。

「やだなぁ、なんでしょう君が泣きそうな顔しているのさ。

何を聞いたか、どこまで聞いたかは知らないけど気にしないでよ。

さっきのなんて私慣れちゃっているから平気だよ」

尚も笑い続ける彼女の事が一気に知らない人のように思えてくる。

彼女の心が見えない。

呆然としている僕に彼女はおかしそうに笑いかけてくる。

いつものあの笑顔で。

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