君がうたう七つの子
だけど、そんな彼女を責めることなんて僕には出来ない。

だから、せめて伝えなければ。

今、レイが見えるのは僕しかいないのだから。

君を忘れることなど、できないのだと。


「それならどうして初めて会ったとき、僕にあんなお願いをしたの?

怖がらせて追い出せばよかったのに。

本当は誰も来なかったことが寂しいと思ってたんだろう

だって、僕がここにいることを見た人は、警戒が薄れてしまうよ。

現に子供が来たじゃないか」

深く息を吸い込んででた声は思っていたよりも震えなくて、落ち着いていて、そのことに背中を押されて彼女に告げる。

「それは・・・」

饒舌だった言葉はその勢いをなくし、言いよどむ彼女に僕は確信する。

今まで僕が接してきたレイこそが本当だと。

そりゃあ、レイが言ったことも本音ではあるだろう。

でも、それはあまりにも悲惨なもので、誰も幸せにはなれない。

レイは勿論、レイの両親、それに土手に集っていた人々。

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