君がうたう七つの子
「それにあの日言ってたじゃないか。ここが好きだって。

色んな人が集まるこの土手が好きだって。

あれもレイの確かな気持ちのはずだ。

だから―――」

「それでも!私は私を忘れてほしくないの!

悲しいけど、私の存在が無かったことにされることが一番辛いの、嫌なの!」

「大丈夫だよ。レイを忘れることなんてできない。

レイの両親も、レイの友達だって」

「来ていないよ、皆。もう来てくれていないの

しょう君も見ているでしょう。

あそこには今じゃあお父さんしか来ていないの」

「それは、なにか事情が―――」

「事情って何?

その事情とやらのほうが私より大切ってことじゃない―――

私の存在が皆の中で薄れているってことじゃない!

ずっと一緒だった子も来てくれない。

それなら、出会って少ししかたってないしょう君も忘れちゃうよ」

「忘れない。

だって、僕はこうして毎日レイに会いに来ているじゃないか。

忘れるはずもないだろう?」

「会えなくなるよ」

「え」

「もうすぐ、すぐに会えなくなるよ」

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