君がうたう七つの子
もうどうすればいいのか、何もかもわからなくなって

捨てられないのなら壊してやろうと、衝動に任せてスケッチブックを床に叩き付けようと、腕を振り上げた。




刹那

机の上で振動音がした。

その音に気取られて、振り上げた腕が停止する。

そして音の発信源を見やると、そこには携帯電話があった。

振動音はもうしなくて、ただ知らせがあると訴える様にチカチカと己の存在をアピールしている。

着信音の長さからしてメールだろう。

僕はスケッチブックを床に叩き付けることなく、静かに机の上に戻し、代わりに携帯電話を手に取る。

送信主は、予言者の彼女だった。

あの、隣町であった元クラスメイトの彼女である。

あの日アドレスを交換して以来、連絡が来ることはなかったのに

なんでよりにもよって、今日、このタイミングなのか。

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