君がうたう七つの子
「あの・・」

自分の愚行と愚考にうなだれていると、僕がレイと間違えた少女がこちらを怪訝そうに見ていた。

レイと比べて大人しそうな顔をしたその子は、突然現れた僕にどうも警戒しているようだ。

「あ、僕、怪しい人じゃないんだ、です」


「・・・・」

ますます怪しいと思われたのか、こちらの様子を窺いながら少し距離をとる彼女。

対応が完全に不審者と遭遇した時のそれである。

しまった。

まさか咄嗟に出た言葉が、怪しい人が言う怪しい言葉ランキング上位のものになるとは。

しかも不自然な敬語プラスで。

なんということだ。

これでは怪しい奴だと自分で知らしめているようなものではないか。

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