君がうたう七つの子
「あ、僕、今度この近くの中学校に転入するんだ。

君もその制服ってことは、同じ学校だよね。

えっと、僕は三年生なんだけど、同じ学年かな?」

自分の身元をはっきりと伝えれば、多少は警戒心も緩まるだろうと思っての言葉は、たどたどしく、これまた怪しいものではあったが効果はあったらしい。

「う、うん。

私も中三だから同い年だね」

未だにその表情は固くはあったが、ひとまず会話ができた事に安堵する。

「―――あ、あの。もしかしてレイの親戚とかなの?」

「え、どうして」

「だって、この町に来たばかりなのにレイの名前言っていたし、ここにも来ているから・・・」

どうやら僕をレイの親戚と推測したらしい彼女は警戒心を解き、距離をとっていたその足も今は止まっている。

僕は思いもよらないところから助け船が来たと、迷わずそれに乗り込もうと、首肯した。

< 129 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop