君がうたう七つの子
数秒程待っていると、ドアの向こうで鍵が開く音がして静かに扉が開いた。

そこから顔をのぞかせるようにして出てきた彼は、心の中で浮かんでいる疑問を隠すことなくその顔に出している。

そりゃあ、娘の事を少し話したくらいの見知らぬ少年が家を訪ねて来たらそう思うのは当然のことだ。

普通ならここであらかたの説明をすべきなんだろうが、それをしてもどうせ信じてもらえずに追い出されてしまうだけだろう。

「急に押しかけてしまってすいません。

あれからどうしてもお線香だけでもあげたいと思ってきたんですが」

だから、僕は平然と嘘を吐く。

申し訳なさそうな顔をして。

まぁ、今からすることを考えれば申し訳ないと思ってはいるけれど。

「そうか。わざわざありがとうね。

でも、今日はこの間言った大事な日でね。

それに妻も疲れているからまた日を改めて―――」

ふむ、やはり予言者の彼女が言った通り、今日はその日らしい。

加えてレイのお母さんが家にいることも確認できた。

なんとか危惧していた状況にはならなかったようだ。

両親がともにそろっていないと話にならないからな。
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